愛知県菓子店

2020.02.18

長寿園

手作業にこだわるお菓子作り

長寿園 今回、ご紹介するお店は、名古屋の桜山にあります「長寿園」です。お店は風情のあるたたずまいで、まず立派な看板が目に入ってきます。この看板は愛知の茶人吉田生風庵四代目吉田紹清宗匠から揮毫されたものだそう。代表銘菓は「味噌松風」。白みそがほんのり香る松風と小豆の蒸し羊羹を合わせた上品な甘さの二層の棹もので、発売以来60年のロングセラー。こちらの商品は表千家吉田紹清宗匠好。他にも淡い色合いの琥珀糖「氷彩花」、落雁の「五宝楽」こちらは中区栄の松花堂八幡(廃業)から相伝したもの。また、「季節の上生菓子」や「本わらび餅」も人気です。これらの菓子は名古屋のみならず京都のお茶会でも使用されています。原材料も厳選されており、小豆は希少な備中産「白小豆」、丹波産「大納言」を使用しておられるそう。茶道関係者や本物志向の和菓子ファンにも評判のお店です。

 現在の店主三代目の林圭一郎氏は、早大卒業後に保険会社に20年勤めてから和菓子職人に転職された異例の経歴の持ち主。愛知県菓子技術専門校で「日本菓子の歴史」の講義もされています。

味噌松風 創業からお店を継ぐまでをお伺いしました。「大正10年に御園座の近くで創業したらしいのですが、昭和13年にこちらに移ってきました。最初は全く継ぐつもりはありませんでした。小さい頃あまり遊んでもらった記憶がなく商売人は嫌で、昭和53年サラリーマンになりました。全国を転勤して20年程した時、父が74歳の頃ですが、そろそろ店を閉めると言うのです。お客様からやめないでほしいと言われましたし、私ももったいないと思い45歳で早期退職して店を継ぐ決心をしました」

 お菓子づくりで大切にされていることについてお伺いしました。「工業生産品のお菓子はたくさんありますが、千利休の『人の行く 裏に道あり 花の山』のように、うちは山の中の道を行ったほうが景色がいいのではないかと思っていて、どんどん出てくる新素材を使わずに、できるだけ昔からの手間暇をかけた手作業の製法にこだわってつくっています。お茶のお菓子は柔らかく口どけが大切です。白餡は父親から『従業員もいないし家賃もいらないのだから、どれだけ高価な材料を使っても儲けはあるし、お前は半人前からのスタートだから良い材料を使え』と言われ、最高級の備中の白小豆を使っています。見た目も写実的とか装飾をするのではなく、菓銘を聞いて初めて想像できる知的な遊びみたいな部分を大事にしたいと思っています」

 ありがとうございました。これからも更なるご活躍をお祈り申し上げます。

長寿園
〒466―0843
名古屋市昭和区菊園町1丁目16

 愛知県菓子工業組合・柘植千晴