山口県菓子店

2020.01.16

パティスリーケンジ

地方から全国へ

藤井謙治さん 瀬戸内海に面した工業都市、宇部。宇部興産の工場の煙突から白い煙が立ち上る町でデザインの力を駆使した洋菓子店、パティスリーケンジ(山口県青年部3代目部長)。このほど新築移転オープン1年を迎えました。

 働き方改革、食品表示、HACCP対応、キャッシュレス化など業界特有の経営課題を抱え苦戦する地方の洋菓子店が多い中、土地と建物を取得し新たな可能性を探っているオーナーシェフは藤井謙治さん。彼の根底にあるものは「生まれ育った宇部の町でお菓子をよりたくさんの人に食べて喜んでもらいたい」ということです。

 菓子業界が変革期の今こそ、リスクを承知で淘汰されないよう開業当時からの夢を叶えました。建設にあたって、当然資金が潤沢にあるわけでなく、入りやすく出やすくわかりやすく駐車場も確保できるこの場所を選びます。

 ケンジと言えば洗練された印象と宇部ダイヤシリーズ。そのデザインと味はヨシイデザインワークス、吉井純起氏と一緒に飽きられないようブラッシュアップを重ね、今では黒ダイヤ(石炭・チョコ味)を筆頭に、炭都ロッシェ(ナッツクランチ)、白ダイヤ(セメント)、緑(小野茶)、橙(萩の夏みかん)と地域のイメージと素材で仕上げています。最新は紅(いちご)。これは白ダイヤと組み合わせれば紅白となり、結婚式や七五三など慶事の進物として新たな需要を生みました。

 決して低価格ではないこのシリーズ、田舎だからと妥協した価格設定はされていません。おみやげとして購入した顧客が自信を持って渡せるよう、材料とパッケージには惜しまずコストを掛けて高級感を出しています。銀座や神戸でも通用すると堂々と言えるのは、コンセプトがありデザインがあり、味もあるから。さらに追求して「いいもの」を提供したいという思いはぶれることがありません。

 さて、広い厨房には愛着のある従来の設備を使いながら、省力化や作業性につながるものは最新の製造設備を導入しました。また、レジを集計したら自動でパソコンにPOSデータが移行するものを取り入れ、事務作業も効率化されています。これは接客に事務仕事にお忙しい奥様を思ってのことです。

 これからの目標は「継続」。ケーキの世界は考えを表現できるとともに価格も自分で決めることができます。新店舗でより時流に合った柔軟な経営を心掛けながらよい商品を探求していくとのこと。立ち止まることはできないと、大好きな宇部の地から銘菓を発信するという目標を持って、すべてをケーキに捧げています。

 山口県菓子工業組合専務理事・恒松恵子

 

店舗データ

パティスリーケンジパティスリーケンジ
住所:宇部市則貞5-1-14
電話:0836-21-9827