群馬県レポート

2019.12.16

組合が立ち上げた菓子祭り

「特別感」「非日常」を作る

新しい高崎の菓子祭り 商業の町高崎には、かつては高崎中の菓子屋が集まって栄えた菓子祭りがあったそうですが、世代交代や時代の流れの中でいつしかなくなってしまったそうです。私はそれを知る世代ではないのですが、6年前、当時を知る理事達は「日頃のご愛顧を市民に還元」をスローガンに、新しい高崎の菓子祭りを復活させました。

 最初は手探りでした。かつてのように各店舗が各々の銘菓を持ち寄って売るには人も準備も足りずうまくいきそうにありません。そういった商業的思考なものではなく、今度は市民が純粋に楽しめる「お祭り」を「菓子屋が仕掛ける」ことに重きを置きました。「ワンコイン販売」など儲けはなくとも目玉となる企画を立ち上げ、職人直伝の「菓子作り教室」などの菓子に触る体験を設け、そして職人が目の前で菓子を作り「出来たて」を提供するといった日頃できない「日常の中の非日常体験」を中心にしました。人が少ない中、時間も予算もない中、何度も行政と行き来し、なんとか第一回を迎えたのでした。

 不手際は沢山ありました。クレームもありましたし、不平不満も世代間による内部の軋轢もあったことでしょう。それでも幸いだったのは、私達の街がそういったイベントごとに慣れ理解していたこと、組合員がより組合員同士を理解し一致団結できたこと、そしてなによりも来場者のみなさんが私達のイベントに興味を持ち実際に楽しんでくれたことです。

出来たてを提供 次回は?と聞かれてまたやるのかと思わないわけではありません。飽きたと言われてへこむこともあります。いい加減ネタもつき、マンネリや惰性感を感じないわけではありませんが、それでもやはりみなさんが、そして子どもたちが笑顔でいるのを思い出すと不思議と今年は何をしてやろうか、と前向きになれます。

 6年目の今年、新しい仲間とともに、企画を持ち寄りより少しだけ広報を強化し、コンセプトを設けました。そのせいか今年は本当に盛況だったと思います。それは高崎という街の地力かもしれませんし、諸先輩方の築き上げたブランド力なのかもしれません。それでも、ああお菓子の力はまだまだ無限に人を惹きつけるのだな、と感じさせるのに十分なほどでした。

 私自身はあんこやクリームに普段さわることはあっても、パンという少し日用品扱いを商品にしているためか、商品に非日常やちょっと贅沢などの特別感を出せないでいます。やはり菓子は特別で非日常だから楽しいのだろう、そう思うと組合での活動は非常に刺激的であり大変興味深く思えてきます。そんな組合員たちと作る「特別」を今後も大事にしつつ自社製品に、この街に活かし、より多くの人に高崎の菓子を知っていただけたらと願っております。

 群馬県高崎市・江木食品工業株式会社・相川賀保