青森県菓子店

2019.10.18

きくち覚誠堂

遊び心にあふれる和洋菓子店

きくち覚誠堂の商品 青森県の津軽平野のちょうど中央に位置する南津軽郡藤崎町は、人口約15,000人で、ふじ林檎の発祥の地であり、県庁所在地である青森市や春の桜まつりや夏の「ねぷた祭り(※)」で有名な弘前市に隣接し、農業や商工業が栄える人口約170,000人の弘前市のベッドタウンでもあります。
 最近では、梅沢富美男さんの母親の出身地としても取り上げられ知名度も上がりました。

 今回は、その藤崎町で四代に渡って盛業されています『きくち覚誠堂』さんをご紹介したいと思います。創業年は正確な情報が伝えられてないため分からないとのことですが、記録で分かっているのは創業85年以上ではあるということでした。お店は本店のみで、旧国道339号線に面した立地に店舗を構えております。

 現在は三代目社長の菊池義人氏(59)と社長の奥様、そして息子さんで東京での洋菓子の修行から戻られた四代目の慶太さんとの三人で切盛りをされています。以前、現社長から珍しい屋号の由来についてお聞きしたことがあるのですが、代々のお名前で初代が覚次郎氏、二代目が誠一氏ということから、それぞれ頭文字をとって『覚誠堂』と名付けたとのことで、三代目が義人だから自分の代で『きくち覚誠義堂』に改名しないとダメだな!とユーモアを交えてお話ししてくださいました。

きくち覚誠堂 さて、そんなきくち覚誠堂さんですが、三代目の義人氏が、弘前市の名店『開雲堂』様と『双味庵』様そして、仙台市の名店『寿の三色最中本舗』様を修行で渡り歩いた後、ご実家に戻られ、従来の製造方法を一新し、自動包餡機や自動どら焼き機、冷凍設備などの導入、店舗施設のリニューアルをし、多額の借金をしての代変わりだったそうです。

 しかし、義人氏の老舗和洋菓子店を渡り歩いて身に着けた確かな技術と、その時代で流行っている商品を常に意識し、持ち前のユーモアのあるアイデアとセンスで次々と美味しく、且つ人目を惹くネーミングやパッケージでオリジナリティー溢れる商品を開発し、少数家族経営ながら地域でも買いやすいお値段で、大量生産、高性能冷凍庫の活用による、常にお客様に美味しいお菓子を届けるという当時の地域の個人店では取り入れてなかった経営方法で、地元の冠婚葬祭や企業からの大量注文もこなし、億単位の借金を返しきったそうです。

 近年では、お店を構える藤崎町主催の、お店が町の食を提供する町特産の農産物を使った新作グルメやスイーツの人気投票で競う『ふじワングランプリ(毎年6月開催)』に第一回目(2012年)から積極的にエントリーし、『ふじの国かすたぁ~』『トキワ卵のぷりん』『めちゃウマ!!ブリュレ』『藤崎りんごのクラフティー』『黒みつきな粉ぷりん』『りんごとチ~ズのおまんじゅう』など数々のユニークな商品を開発し、8年連続スイーツ部門などで優勝を含む数々の賞を受賞しており、自他共に認めるヒットメーカーであります。

 現在は四代目の慶太氏と共に洋菓子部門の強化に取り組み、地域での人気店という地位を確固たるものに作りあげている毎日で、これからの更なる新商品の登場が楽しみであります。

※青森市の「ねぶた祭り」は立体的な物ばかりの運行ですが、弘前市開催の祭りの名称は「ねぷた祭り」と言い「扇ねぷた」「組ねぷた」が運行されます。

 青森県菓子工業組合副理事長(中弘支部長兼務)・川嶋将晃