福井県菓子店

2019.10.18

御菓子処 伊勢屋

名物 「くずまんじゅう」

くずまんじゅう 私の店は福井県小浜市一番町にあります。創業は天保元年(1830年)今年で189年になります。

 当店は上田與三郎によって創業されました。3代目は京都の長久堂、4代目は東京製菓学校、5代目は京都鼓月と東京の東宮、6代目である私は千葉の京山、佐々木勝氏のもとで修業をさせて頂きました。
 私の店には「くずまんじゅう」という地元の名物があり150年ほどの歴史があります。平成29年には伝統和菓子職の認定を受けました。このお菓子は平成名水百選「雲城水」を使って造られており、4月中頃から9月いっぱいまで販売しています。

水槽で冷やされるくずまんじゅう 旧若狭藩小浜城の城下町一番町では古くからきれいな水に恵まれた町として知られていました。そして近在の日本三大葛であった若狭の葛を使い、くずまんじゅうが造られました。くずまんじゅうは和菓子屋のみでなく八百屋、萬屋、魚屋、一番町の様々な商店で製造販売されていました。夏になると一番町商店街では店先の水槽にくずまんじゅうやところてんを冷やして販売し、道行く人はその涼しげな風景に涼を求め喉を潤し憩いの場として賑わっていたようです。古くはくずまんじゅう通りと呼ばれていた商店街も、今では販売しているのは当店のみとなりました。

 私が千葉での修行を終え実家に帰ってから今年でちょうど10年が経ちます。当時は勢いに任せ周りが見えず仕事をしていましたが、今では店が代々受け継がれていく大変さというのを感じ、また日々向上していかなければならないという事も感じています。私は師匠である京山・佐々木勝氏に仕事に対する姿勢、考え方、菓子作りの基本を学びました。そこでの5年間は何事にも代えがたい、今思い起こすととても貴重な時間を過ごさせていただきました。毎日が真剣で皆切磋琢磨で必死で緊張感があり、日々成長できていると実感できました。今自分が少しばかりお菓子を作れるようになったのは師匠や奥さんのおかげであり、一緒に修行した先輩方、仲間のおかげだと思っています。また地元で商売が続けられているのも店に来ていただけるお客様、そして家族、代々受け継いできた先祖の方々、従業員の皆さんのおかげであると思います。決して自分の力だけではなく色々な方々への感謝を忘れず、店の発展と業界に少しでも貢献できるよう頑張りたいと思います。

 福井県菓子工業組合・上田浩人