香川県菓子店

2019.08.15

中野餅屋

地域の文化と餅屋のかかわり

 今回は、明治38年創業「中野餅屋」の五代目、中野大岳さんと先代の奥様にお話しを聞かせていただきました。中野餅屋は香川県丸亀市に店舗を構えていらっしゃいます。佐賀のヒヨクモチと北海道産小豆を使った、おはぎ等の餅菓子や赤飯をその日に作り、当日売り切るスタイルのお店です。

・団子馬??
団子馬と鯛の団子菓子 一歳の誕生日に一升餅でお祝いする、誕生餅はご存知の方が多いと思いますが、八朔団子馬ってご存知でしょうか?香川県の西の方に古くから伝わる文化で、八朔の節句や馬節句といい、旧暦八月一日を八朔といい、(今年は8月30日)長男出生のお祝いに使われている特別なお菓子です。端午の節句同様に男の子の無事な成長を願い、八朔の日には団子馬、鶴亀鯛などの団子菓子、武者人形、張子の虎が飾られる風習があるそうです。この地域の節句行事に馬が使われる様になったのは、丸亀出身の讃岐藩の家臣であった、馬術の名人である曲垣平九郎にちなんでいるそうです。

 八朔団子馬は専用の土台に団子生地を盛り付け馬の形に成型し、ガラスの目・たてがみ・尻尾・衣装で飾られます。大きさは一升~一斗のオーダーが出来、1メートル超える大きさの団子馬は、子供がまたがっても壊れない程の頑丈さらしいです。食べるのは、お披露目が終わった後で(硬くなったもの)、細かく砕いてご近所などに配り、焼いて醤油やきなこをつけて食べる風習みたいです。それを食べた子供は、なんとお灸をすえられる風習もあるとか…

中野餅屋・土用は塩餅??
 土用の丑の日に鰻を食べる様になったのは、江戸時代に香川出身の平賀源内が、「土用は(う)の字が付くもの…鰻を食べると良い」と言ったのが始まりと聞きます。菓子文化では、土用餅といったあんこの中に柔らかいお餅が通常ですが、中野餅屋でいう土用餅は、塩餅なのです。香川県の雑煮にはあんこが入った餅を使いますが、砂糖の代わりに塩が入った、塩あん餅もあります。「云われは何故か分からない…他にも餅を扱っている丸亀の菓子屋はありますが、土用餅として塩餅をしているのを聞いた事ない…ウチならではなのかもしれません」先代の奥様は、「何故か昔から土用の丑の日には塩餅の注文が入る」と仰ってました。取材時の土用餅の日(7月27日)には、塩餅を求めてお客様が来られてました。

 小豆は体にいい、暑い時期にはさっぱりとした物が食べやすい…昔の人がよく言う「夏の餅は犬も食わぬ」ではありませんが、夏ならではの餅の食べ方かもしれませんね。

 青年部でも活躍されている五代目の大岳さんは、「地域から必要とされている限り、目新しい事はせずに現在のスタイルで細く長く続けていければいい」と仰ってました。

 今回の取材で、自分が知らない文化や風習を知る事が出来ました。中野餅屋さん色々と教えていただきありがとうございました。

 香川県菓子工業組合青年部・田村正太郎