長野県レポート

2019.07.17

昆虫食ブームが今に来る

イナゴのクッキー

イナゴのクッキー 長野県の南部(南信)、特に伊那谷と呼ばれるこの地域では、昔から冬場のタンパク質とカルシウムを補うため、昆虫をつくだ煮にして食していました。私も中学生ごろまで母と一緒に秋の稲刈りの時期、田んぼの土手を歩きイナゴを捕まえていました。他にもハチの子やざざ虫、サナギなど。今では珍味として重宝され、高価なものになってしまいましたが…。

 この伊那谷から新しいお菓子を発信できないか、と若い組合員と話した時、なぜか「イナゴでは」と言ってしまいました。「エッ」と言われましたが…他の地域で発信されたら「イヤじゃん」と。

 たまたま伊那市に昆虫などつくだ煮にする珍味屋さんがあり、そこの社長に来ていただきお話を伺いました。「ヨーロッパではすごい人気で輸出している。宇宙食にも、又、世界的に人口が増えた時最後の頼みは昆虫でしょう」と。そんな話を聞き、何とか商品にならないかと。その時イナゴのクッキーを作ってもっていって出席者12名に食べてもらいました。「おいしいけどイナゴが分からない」「1匹丸ごとのせたらどうか」「そんなことしたら誰も食べない」など意見があり、それでもイナゴを使った何かに挑戦してみようと回りの組合員にも話をしてみよう、とはなったのですがなかなか話は前に進みません。

イナゴのクッキー せんべいか、かりんとうで醤油や蜜にイナゴの細かにしたものを使って作ってくれる菓子店を探して、各店頭に並べてもらうのも良いかと思ったのですが、近くには小回りの利くせんべい屋さんやかりんとう屋さんがない。大手では販売しきれない。自店ではイナゴクッキーがそこそこ売れてはいるのですが、1店舗では宣伝も弱い。珍しいしインパクトもあり素材としてとても魅力的ではあるのですが悩んでいます。誰か助けて!長い目で見て、組合の若い人たちに進め方を任せた方が良いのか、20店舗集まって旗揚げすれば新聞やテレビなどで取り上げられ補助金も出して頂けそうと、話は聞いているのですが。ゲテモノと言う人もいますが珍味と言えば手が出ませんか?

 いつものこの紙面には「こうして、こうしたら成功した」という話が載っていますが、今回は違います。3年後と何とかなっているように試行錯誤の途上であります。

 先日、伊那市にて昆虫食のシンポジウムがあり出席させていただきました。120名ぐらい集まり熱く語る人ばかりで、この地域少し変だとも思いましたが、私も語り出すと熱くなりました。私も変なのかな?「あっ虫が入っている、異物混入だ!」「いえ、それがメインです。昆虫が入っているので混入ではなく昆入です」とかバカな事ばかり考えている今日このごろですが、面白い素材であるので私の生きているうちにはと。

 長野県菓子工業組合上伊那支部支部長・長野県副理事長・福澤芳史