岐阜県レポート

2019.06.18

子どもたちにもっと和菓子を

柏の植樹と、ふるさと大福づくり

柏の植樹

育った柏の葉を採る子どもたち 「これ、なあに?」と、柏餅を見た子が言うのを聞いて、本当に驚きました。そして、「葉っぱも食べられるの?」と、別の子が言うのを聞いて、柏餅を知らない子どもがいることに危機感を感じました。柏の葉は、新葉が出るまで冬の間も葉が落ちないことから、家系が途切れないことを願って使われる縁起物です。このような古くからの風習も一緒に忘れられていくことを思うと、和菓子屋としてだけではなく、日本人としてとても寂しいことだと強く感じました。

 そこで翌年、この話を知ってもらうために、近所の山に柏の木を植樹することにしました。小さな子を持つ親さんに集まってもらい、苗木を植えたところ、1ヶ月ほどして葉が育ってきましたので、さらに翌年には植樹をしてくれた親子にもう一度集まってもらい、実際に葉を採り、柏餅を巻いて、その場で食べてもらうイベントを行いました。今年、2回目のイベントを行いましたが、参加してくださった方には、柏と一緒にお子さんの成長も感じていただくことができて、楽しい時間を過ごしてもらうことができています。

ふるさと大福づくり

キウイを大福で包む参加親子 「洞戸(ほらど)のキウイって、美味しいんだね!」と、子どもたちが言うのを聞いて、心の中でガッツポーズ。関市の山間部に位置する洞戸地区は、寒暖差が大きいことからキウイ栽培がさかんです。しかし、あたり前すぎるのか、地元の小学生は意外と食べる機会が少ないようで、「ふるさとに誇りを持ってもらおう」という授業の中で、親子での『キウイ大福』づくりをさせていただきました。餅生地は、児童が収穫したもち米を製粉して雪餅生地に仕上げ、キウイは同じく受粉作業に携わったものを使いました。関のキウイは、甘みと酸味のバランスが良く、モッチリしたお餅の食感と粒あんとの相性が抜群でした。

 近年は衛生面の問題から、餅つき大会などでついたお餅をその場で食べることが避けられています。関市内では、地域教育として「もち米づくり」を行う小学校が多くありますが、収穫したもち米をどうしたらいいか悩んでいるところもあり、相談をいただいたのが関わらせていただくきっかけでした。

 また、関市の田原(たわら)地区は、いちご農家が多いことが特長の地域です。田原小学校では、『いちご大福』づくりを体験してもらいました。児童が収穫したもち米と、学校近くのいちご農家で自分たちが摘んできたいちごを使いました。「いちごもあんこも苦手だったけど、今日は食べられた!」と言ってくれる児童もいて、こちらも大好評でした。

 このように小学校におじゃますると、子どもたちが本当に美味しい和菓子に出会っていなかったのではないかと感じることがあります。私たちが持っている技術で、和菓子の美味しさを子どもたちに知ってもらうと同時に、日本の文化や風習、またその地域の良さを知ってもらうことができるのは、和菓子職人としての喜びであり、楽しみです。その他にもPTAでの親子和菓子づくりや、地元の高校生とのコラボ商品の開発なども行っており、今後もより多くの方に和菓子にふれてもらう機会を増やしていけるよう取り組んでいきたいと思っています。

 岐阜県菓子工業組合・和菓子処関市虎屋・古田敦資