福井県レポート

2019.05.15

水ようかん

季節を感じる和菓子

水ようかん 福井の冬の風物詩といえば「水ようかん」である。夏の間違い?と思われるかもしれないが10月下旬頃から福井県内の和菓子屋さん、量販店、おみやげ屋さんなど、いたるところで水ようかんが登場し、以降3月下旬ごろまで福井の水ようかんのシーズンが続く。

 県内には200とも、それ以上とも言われる水ようかんのメーカーがあるが、商品パッケージもそれぞれ多種多様で、箱の色やデザインを見比べるだけでも面白い。

 福井市の水ようかんと言えば黒糖を使用し黒糖の味がほんのり効いた水ようかんが主流だが、最近ではコーヒー味の水ようかんや、白あんを使った白い水ようかんといった変わり種の水ようかんも登場している。

 またその容器も特徴的で、紙で出来た紙箱の容器に直接流し込まれていて、紙箱から切れ目の入った水ようかんを一切れずつすくって食べるという昔からの風情ある食べ方が福井流であるが、容器が紙箱だとどうしても斜めにすると液漏れが発生してしまう事も多く、県外への発送や持ち帰り用にパックになった容器も最近では増えてきており、水ようかんも時代の変化と共に少しずつその時代に合った形態へと変化している。

水ようかん なぜ冬に水ようかんなの?と聞かれる事も多いが、はっきりとした事は分かっておらずその理由は諸説ある。県内の水ようかんは別名、丁稚ようかんとも呼ばれるが、丁稚ようかんとは西日本の主に近畿地方を中心とした地域での呼称。かつて関西へ丁稚奉公に出され、当時は砂糖が貴重だったために、奉公先から正月の帰省時に、ようかんを水で薄めて持ち帰ったのが冬の水ようかんの始まりとも言われている。

 今、12月のアイスクリームの販売数が増えているといった話はよく聞くが、暖房の効いた部屋や暖かいこたつで食べるアイスが美味しいという感覚と、雪国の福井で冬にこたつで水ようかんという食文化はとても似ていると思う。

 近年ではテレビなどのメディアで冬の水ようかんを取り上げられる機会も増え、福井の冬水ようかんの認知度が少しずつ広まってきたように感じる。実際、弊社でも県外への出荷が県内への出荷量より上回る日も多くなっている。アイスクリームが夏場だけではなく冬場にも売上を伸ばしているように、夏に消費が増える水ようかんと福井の冬場の水ようかんが相乗効果によって互いに売り上げを伸ばし、日本の代表する和菓子の一つである「ようかん」の市場が、今後さらに盛り上がっていく事を期待したい。

 福井県菓子工業組合・久保田製菓㈲代表取締役・久保田晃仁