神奈川県菓子店

2019.01.16

「さのや」

伊勢原の歴史とともに歩む店

大山こま 神奈川県伊勢原市は、大山古道が市内を貫いています。昔から多くの人に利用されてきたこの道の両脇には、様々な商店が立ち並んでいます。大山阿夫利神社に詣でる人はこの店々を眺めながら山頂へと向かう、という風景は江戸時代中期から続く光景でありました。

 大山の玄関口伊勢原駅を降りて3分ほど歩くと「さのや」は在ります。店内では色とりどり、様々な和菓子がお客様をお待ちしています。和菓子がたくさん並んでいるショーケースの上に置かれている木製の「大山こま」は、地元産のミズキやモミジを使用しており300年以上続く伝統工芸品。「よどみなく回る(金運が回る)」「しっかりとした心棒(激しい行動とそれを耐え抜くこと)」「円い型(愛想のよいこと)」ということで縁起物として昔から旅人に親しまれ、地域の人々の祝い事に用いられてきました。

大山こま最中 この可愛いこまの形、ふっくらした胴体の丸み・太い心棒を生かした形を「さのや」の2代目が和菓子に作り上げました。そして昭和58年には神奈川県指定銘菓に選ばれ「登録商標大山こま最中」として人気を得ました。発売から今日までに「大山こま最中」は、他にも「全国菓子大博覧会無鑑査賞受賞」「全日本和菓子展日本銘菓大賞受賞」など輝かしい経歴があり、全国観光土産品連盟・伊勢原観光協会から推奨を戴いている皆さまから愛されている御菓子です。

 大山こま最中の形もふくよかで温かいぬくもりを感じるかわいらしい形、お店の品物にも甘いものが食べられないお客様への配慮がうかがえるお煎餅や豆菓子を見て、お客様を思いやるお店の方々の心温まる思いが御菓子にも込められているのが感じられます。

 大山阿夫利神社や大山古道のある地元に密着して活躍している「さのや」は昭和13年に現在の社長の祖父に当たる佐野直藏氏が開業、2代目は富男氏へ、そして3代目となる現社長の治之氏へとバトンは渡されました。2代目は神奈川県菓子工業組合の副理事長としてご尽力を、3代目は伊勢原の観光に、地元のお土産にと力を揮っておられ、現在は商店街の副会長として活動しているとの事。2代目、3代目のお二人のご活躍を支え、店を支えている社長の妹様と3人のチームワークがこれからも「大山こま最中」を中心に和菓子の世界を広めていくことでしょう。

 神奈川県菓子工業組合事務・中山尚子