鹿児島県菓子店

2019.01.16

お菓子のステラ

ケーキを通して成長を見守る

アレルギー対応ケーキ 鹿児島県最北に位置し、熊本県に隣接する出水市は、冬には一万羽を超す鶴が訪れる「万羽鶴の里」として有名ですが、四百年前の町の面影を残す武家屋敷群が保存されるなど、豊かな自然の息づく風光明媚な歴史と文化のまちです。

 その出水市高尾野町にある「お菓子のステラ」では「アレルギー対応ケーキ」を作り、アトピーやアレルギーで苦しむ子どもやたちやご家族に笑顔を届けています。アレルギーを持つ子どもたちは、日常の生活でも大変な思いをして生活していますが、クリスマスや誕生日などで家族やお友達とケーキを囲んでお祝いをするという、ごく普通のことができないときに、より一層辛さを感じていることと思われます。

揚松照男さん 自らを「おいちゃん」と称する店主の揚松照男氏によると、アレルギー対応のケーキを作るときは、専用の容器や道具を用いていますが、他の作業をした後だと、白衣に微量の小麦粉などアレルゲンが付着しているかもしれない。そういう万が一の混入を防ぐためにも、必ず一日の仕事始めに作るそうです。ですから、予約注文のみで、ご注文を受けるときにも繰り返し丁寧にアレルゲンの確認をするそうです。もちろん原材料も厳選しており、出来上がったケーキをお届けするときには、原材料表示もしっかり提示しています。そんな心づくしの初めてケーキを囲んだときの、お子さんやご家族の幸せな笑顔や感動が目に浮かぶようです。

 そうして心を込めて作ったケーキは、安心安全なだけではなく、美味しいので、毎年毎年ご注文をいただくのですが、ほとんどの子どもたちに「アレルギー対応ケーキ」を卒業するときが訪れるのです。それは、成長してアレルギーを克服したとき。そのときを「おいちゃん」は「おめでとう」と心から祝福するのです。

 その温かさは、小中高の職場体験の受け入れにも表れているような気がします。仕事に支障をきたすことも多いことから、受け入れを厭う店も多い中「おいちゃん」は子どもたちの一生懸命さとケーキを創り上げた時の笑顔を見守り、年間を通して多数受け入れています。

 こうした子どもたちの中から、将来のパティシエが生まれるかもしれませんね。

 鹿児島県菓子工業組合事務局長・惠島理子