静岡県菓子店

2018.12.18

「ちびまる子ちゃん」のふるさとで伝統和菓子を育む 竹翁堂

静岡県静岡市清水区

さくらももこさん自筆のイラストが描かれた掛け紙 「ちびまる子ちゃん」でお馴染みの漫画家さくらももこさんの故郷であり「ちびまる子ちゃん」が暮らす町として作品に登場する、静岡県静岡市清水区の入江地区に「竹翁堂」植手元昭氏(47歳)のお店がある。さくらさんの好物だった夏季限定販売の「一枚流し夏ようかん」の掛け紙はさくらさん自筆のイラストが描かれている。

 竹翁堂は昭和23年創業、元昭氏で3代目となる。高校を卒業して「日本菓子専門学校」に進み、都内の老舗店での修業を経て27才で家業を継ぐ。

 店舗は以前、車道に面して入口を構えていたが10年前に新築改装された際にお客様の危険を考慮して店舗横に入口を移した。暖簾をくぐると程良い明るさが和菓子店らしい雰囲気を醸し出し優しく迎えてくれる。ショーケースは明るく上品に陳列された上生菓子を引き立たせ、お客様には落ち着いた気持ちでお買い物を楽しんで頂ける。

 改装を機に厳しい修業で培った職人としての基礎を基に本物の和菓子を目指す店にシフトし、日本文化である上生菓子の製造販売に重点を置いた。同店に菓子職人として勤務する妹、智子さん(34歳)の作る干菓子とともに茶席用茶菓子として評判を呼び顧客を増やしている。

植手元昭さんと妹の智子さん 毎朝4時半には工場に入り、餅類や饅頭の朝生から製造が始まる。休日は週1回、少し増やしたいと考えているがお客様のことを思うと実現が難しい。店舗の他に、お茶会、高校茶道部への納品、結婚式場での餅つきや上席菓子の実演提供、斎場の振舞い菓子の納品など多岐に亘って販路を拡大している。また、毎年11月には地元小学校の3年生を招き、上生菓子やお饅頭の体験学習など行い伝統技術の伝承にも尽力している。

 元昭氏は地元組合の役員も務めながら県菓子工業組合青年部のメンバーとしても活躍、先般行われた県菓子工の製菓講習会では講師助手を務める等、組合活動にも積極的に参加協力して菓子業界の発展に大きく寄与されている。

 今年の10月に県内の有力紙「静岡新聞」の半面を使って元昭氏の上生菓子の製造に励む姿が大きく紹介された。「人の気持ちに寄り添う菓子。思わず顔がほころぶ優しい味の菓子を作りたい」「今の時代に合う形で、最近見かけなくなった伝統和菓子を再現したい」と古典的な意匠の復活を目指し、現在の心境を「若い頃の自分からは想像できない位、改めて和菓子の奥深さに惹かれている」と紙面の中で述べられている。

 「ちびまる子ちゃん」の根強い人気と同様に竹翁堂さんの益々の発展を祈念いたします。

 静岡県菓子工業組合副理事長・森田紀