山口県菓子店

2018.06.19

販路は全国にあり

㈱曽呂利 インターネット販売が繁盛

三代目・河村大地氏と奥さま 瀬戸内海は周防灘に面した周南市。コンビナートの夜景が重化学工業で栄えたまちを象徴する周南市で創業61年、豊臣秀吉に御伽衆として仕えた曽呂利新左衛門から名付けた曽呂利を訪ねました。和菓子は一閑、洋菓子はフランソワとどちらも取り扱う町のお菓子屋さん。市内を中心に9店舗を展開する県内屈指の菓子店は従来の店頭販売だけでなく、インターネット販売に注力し、その繁盛ぶりで有名になりました。

 創業者河村太郎氏の長男、二代目現社長知行氏の経歴は高等専門学校の先生。退職して家業に入ります。お菓子の作れない社長だと自嘲しますが、理系の経営感覚は博士ならでは。当時は珍しかったIT化を進めていきます。そんな中で始めたインターネット販売。理由は「店舗で発送などの仕事を作るため」。奥様と二人で始めた頃の月商はとても採算の取れるものではありませんでした。

 ところが2年近く続けた頃、奇跡が起きました。ブライダル用のマカロンが大ヒット。急にランキング入りし、全国の注目を集めます。個包装のリボンが良かったのか今でも原因はわからないと言いますが、以来、安定した売り上げが確保できるようになりました。

天使のマカロン 続いての転機は、長男大地氏が菓子屋になることを決意する5年前。継ぐつもりはなかったけれど、好きなことをさせてくれた両親への恩返しのため、県内有名洋菓子店(トロアメゾン)に修業に出ます。驚くことに、若き三代目は京都大学法科大学院を卒業後、司法試験に挑戦していたものの目的果たせず菓子屋の道へ。修業先で販売をしていた女性を妻にし、家業に入ったのが一年半前のことです。二人は修業先の経験とオーナーである水上夫妻のおかげで今があると感謝しています。

 さて、話をインターネット販売に戻しますと、その後、楽天からヤフー、アマゾンとすべてを網羅しました。こちらの方は実の娘さんが手伝うようになり、さらに発展したため専門家にページの製作を依頼。従来の商品だけでなく、フードプリンタを用いた誕生餅をはじめとするオリジナルを重視した特別なもの、季節感と地域色にあふれたもの、メッセージ熨斗やラッピングでお客様のお菓子の用途に合わせたものなど訴求効果は全国へ。もちろん、味に対する当然のこだわりと、丁寧な対応があるからこそ注文が続々と。ネット販売と聞くと経費や煩雑さについて心配するところではありますが、実店舗を出店してもある程度の費用が掛かるから一緒、とのこと。ただしネットショッピングにおいては初期投資を惜しまなかったそうです。

 息子夫婦と仕事をするようになって、菓子を作れない社長が感じる3つのいいこと。1つは工場で職人として大地氏が働くようになり、コスト管理など製造における課題が明確になり改善されたこと。1つは実店舗において奥様と若奥様と二人の存在があることで、顧客からの信頼と店舗の風通しがより良くなったこと。

 最後は商品開発に若い感性が発揮されていること。今まで漫然と販売していたものに輝きを与えます。例えば醤油パイに地元の醤油を使う提案がされたり、お菓子の魅せ方であったり。

 「社長である父に言いたいことは?」「自由にさせてもらってありがとう」。

 実店舗とインターネット販売の両立が成功する秘訣は、お客様に「お菓子あるところに笑顔あり」と想像力を働かせながら、年齢の違う親子が付かず離れずに認め合う姿勢かもしれません。ますますの繁盛が期待され、若夫婦でオランダに行く夢が叶うのもすぐそこです。

 山口県菓子工業組合専務理事・恒松恵子

 

店舗データ

洋菓子のフランソワ、和菓子の一閑
住 所 山口県周南市河東町3-2
TEL 0834-32-0002
H P http://furansowa.com