熊本県レポート

2018.03.19

110年続くしぼりや

元従業員の思いに応え、新店舗再開へ

震災で傾き一時閉店した時の店舗 「震災を乗り超え、新しい一歩を踏み出したい」3代にわたり、約110年地域で愛されてきた「御菓子司 しぼりや」を営んできた私の思いでした。

 傾いて全壊扱いとなった菓子店舗兼、工場で製造を続け、解体や再建、資金繰りのめどが立ち、2017年3月15日で一時閉店。半年後の再開をめざし準備をすすめてきましたが、建設業の繁忙や建設職人の不足で2018年1月15日の復旧、開店となりました。

「御菓子司 しぼりや」新店舗 当店は私の祖母が1905年に創業。オリジナルの「漱石まんじゅう」や、くるみ入りパイ「わさもんパイ」など独自の和菓子を製造販売してきました。店舗兼住宅は築100年以上の町屋で、建物内の中庭には錦鯉が泳ぐ池もある、風情ある店構えでした。震災後は商売の再開をめざし、略称、グループ補助金を申請。自力で膨大な書類をそろえるのは大きな負担でしたが、震災直後に心配して店を訪ね、見舞金を届けてくれた元従業員たちの存在が私を支えてくれました。母が寝たきりになった時には世話までしてくれた従業員もいる。長年頑張って務めてきたこの店が地震を乗り越え、地域にあることが、あの人たちの誇りにもなるはず。気持ちに応えたい。という気持ちで、心を奮い立たせ、2016年8月の第一次公募の後期募集に間に合わせ、認定を受けました。

 グループ補助金の振り込みは店舗の再建、支払完了後のため、資金繰りも不安でしたが、2016年6月から話し合ってきた政策金融公庫の融資の見通しが2017年1月につき、解体と再建に一歩を踏み出しました。新店舗は、昔からの建具などを活用し、趣を残した店になりました。受け継いできた菓子木型も使って子どもたちにお菓子教室もしたい、と考えています。

 「当店の経営理念は、『お菓子でコミュニケーションのお手伝い』。うちのお菓子を通じて、お年寄りと子ども、友人同士の話題が弾む。そんな仕事で地域貢献できる菓子屋のじいさんになれたら、最高です」

 御菓子司しぼりや代表取締役・岩原和哉