大分県レポート

2018.02.16

平成29年度後期 技能検定実技試験実施

1名から試験実施 若手職人育成へ

技能検定実技試験 去る1月15日(月)大分県菓子工業組合研修室にて洋菓子の技能検定実技試験が実施された。今回は2級を受検希望の大分市在住の若きパティエシエからの申請が1件あったということで、窓口である県職業能力開発協会より主に審査を行う技能検定委員2名及び補助員1名の推薦依頼とともに、以前に3回ほど和菓子一級実技試験を行った当組合の研修室で試験を実施したいと言う要望も聞き、検定委員の選定から材料等の準備まで当組合で協力することとなった。

 しかし、検定委員の選定にとりかかってみると、前回の洋菓子技能検定試験の実施から16年もの歳月が流れており、その時の検定委員は既に現役を退いているため勝手がわかる者がいない上に、組合員に洋菓子一級技能士の資格を持った者が少なく、候補として推薦できる人材が不足しているという問題に直面した。一級技能士の資格が検定委員の必須条件では無いが、協会から「出来れば一級技能士の推薦が望ましい」との声もあったので、なんとか最終的にはベテラン技術者に協力してもらい試験も無事に終えることは出来たのだが、今後10年先、20年先に試験を実施しようとした場合に県下のほとんどの洋菓子一級技能士の方は引退している可能性が高く、いざ受検を希望する者が現れた際に、検定委員がいない理由で他県での受検を促すような残念なことにならぬよう今のうちに手を打つべき案件と言える。

 ちなみに今回の受検者に申請のきっかけを尋ねると、勤務先の店長から背中を押されたこともあるが、今年度は35歳未満の2級、3級の受検者は実技試験手数料が9,000円減額されたため受け易かったとのこと。受検手数料はこれまで学科試験の手数料と合計で21,000円だったが、一気に12,000円に下がれば、この機会にチャレンジしようと考える若者が現れるのは必然であり、勤める会社が全面的に協力するケースも考えられるので、あと何年続くか定かではないが減額制度の実施期間中は若手職人のプロ意識を高め、将来の指導者及び検定委員等となる技術者を育てるチャンスとも言える。

 元々若者の職場定着率が低いことから数年前から国が経費を助成し学生や職に就いていない若年者を対象に半年間の職場体験実習を行ったり、小学4、5、6年生を対象に「キッズワーク」と題して様々な職種の仕事を学ぶ場を提供したり、ものを作る人材の育成にはかなり力を入れていたので、今後も職場定着率を上げる目的の事業は続いていくと思われ、技能検定試験においても、当県ではこれまで3名以上の受検者が揃わないと経費等の問題で試験が実施できず、なかなか実施が確定できないせいで受検希望者のモチベーションが保ちにくい状況になることもあったのだが、今回から1名でも申請があれば実施することになるなど、過去の受検者と比べると、これからの受検者は減額の件も含め随分優遇されているように感じる。一概に資格を持てば違う業種に転職しないと言うことにはならないが、この条件の良いうちに一度チャレンジしてもらい、経験を積み自信に繋げることで、菓子業界で高みを目指す若者が増えることは十分考えられる。組合員の減少と洋菓子製造の検定委員に推せる人材の不足が深刻な問題となっている現在、まずは2級、3級技能士が一人でも増えるよう技能検定試験の概要を広く周知し、将来的にはベテラン技術者の協力と指導の下で一級を取得するまで若手を育成する流れに期待する。

 大分県菓子工業組合事務局長・早瀬大雄