福井県菓子店

2018.02.16

奥越菓庵やまうち

自然と先人に感謝して

こぶし 福井県の東部に位置する大野市。最近では、雲海に城が浮かぶ「天空の城 越前大野城」が、テレビ・雑誌等でも取り上げられ、頭に浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか?人口は3万4千人程ながら、北陸の小京都として、歴史・文化・伝統が息づくそんな城下町に当店はあります。私は三代目として、菓子専門学校を卒業後、関東など数店で修業をさせて頂きました。修業時代は店での仕事の他、研究会や幾多の先生方と接することができ、和菓子の基礎や知識、意匠など何でも習得せんと、充実した日々を過ごすことが出来ました。実家に戻ってしばらくし、県菓子工業組合が青年部会、技能士会を創設。私は両会とも創設メンバーとして参加し、年数回の技術講習会やイベント等のお手伝いをさせて頂きました。講習会での先生方の話の中には色々なヒントがあり、「材料の特性を考える」「乳化させる」「麩を出しやすくする」「卵の気泡を安定化させる」など、何気ない話が商品の品質向上、新商品開発のヒントにつながっており、お菓子は原因と結果、自然の法則によって創生されていると感じております。

 そんな流れの中、昨年開催されました「お伊勢さん菓子博」では、当店のお菓子が農林水産大臣賞を受賞することができ、大変栄誉なことと思っております。このお菓子は、数種類の油脂を使うなど、講習会でのヒントを参考に、油脂ごとの特性を自分なりに考えて作ったお菓子で、大変自信になりました。

 また大野市は、「名水百選」「平成の名水百選」「水の郷百選」などに認定、選定される名水の郷とも知られ、その名水を使った「でっち羊かん(水ようかん)」が、11月頃から翌年3月頃まで作られます。2月の第1土曜日、日曜日には商工会議所協力のもと、「でっち羊かんまつり」が開催され、29年に開催された第7回(市内15店舗参加)では、2日間で来場者約2万人、カップ入りが約2万5千個の他、箱入り1枚流しや名産品・特産品なども売られ、食文化発信事業として盛大なまつりとなっています。これひとえに、自然からの恩恵と、先人からの賜物と思っております。

 私の父にも師匠がおり、私にも師匠がいる。その師匠にも師匠がと和菓子業界の先人の方々が築き上げ、伝授してこられた和菓子道を、和菓子を生業としている者として、わずかながらでも恩返しし、自然の恵みに感謝を忘れずに、これからも歩んでいけたらと思っております。

 奥越菓庵やまうち・山内浩一(福井県菓子工業組合青年部会直前会長)