山口県菓子店

2018.01.19

みやはら製菓

祖父と共に暖簾を守る若き挑戦

長府せんべい 山口県下関市において1800年の歴史を持つ長府。長府庭園や神社仏閣が点在し文化財も多くあり、武家屋敷の名残りがある長府地区は春に桜、秋には紅葉と観光客でにぎわう県内屈指の城下町です。当時の長府商店街の集客力を魅力に感じて戦後まもなく創業したみやはら製菓を訪ねました。

 代表銘菓は「長府せんべい」。地域の冠を持つ生姜風味のせんべいでこのほどお伊勢さん菓子博において山口県内最高位の賞を受賞しました。風味を左右する原料の生姜を産地指定で仕入れるこだわりが評価されたことも大きな自信につながります。長府せんべいの他、あおさやピーナツ、みそや鶏卵なども並び、様々な味のせんべいが量り売りされています。近年、量り売りを行う店舗は少なくなりましたが、城下町に郷愁を求めて来店される観光客の方々と地元の方々に一枚でも買えるようにという思いから、またいろんな味が少しずつ楽しめるように、ずっと続けて行かれるそうです。その他、だんごやきなこ餅など手の込んだ朝生と呼ばれる和菓子が並んでいます。

 さて、若き三代目を紹介しましょう。小松雅弥さん24歳。みやはら製菓の代表は宮原征三さん。ということは孫です。工業系の大学を卒業後一旦就職しますが、曾祖父が作ったせんべいの礎を絶やしてはならないと決心して2年、祖父母のもと製造や販売の修業を続けながら接客もこなし、3人で店舗の運営を行っています。まったく別世界では?と尋ねると幼い時から手伝っていたからすんなり飛び込めたとのことです。接客をするうちに店の歴史を知ります。またお客様の声を聞き、地域に愛されていることが誇りになり、自分がやってみようと決意しました。お客様の「ありがとう」と「おいしい」に育てられていると日々謙虚な気持ちで取り組んでいます。

 数年前ブームだった恋するフォーチュンクッキーに因んだ恋みくじ、占いクッキー(せんべい)。そのずっと前から乃木神社へ奉納用におみくじを入れたせんべいを作っていました。その時に注目を浴びることはなかったけれど、これからも流行を取り入れながら新作のせんべいに祖父の助言を聞きながら挑戦していきたいとのこと。一方、流行り廃りのないお客様に喜ばれるせんべいも作りたいし、優しい祖父の負担を少なくしたいとのこと。家族ならではの思いやりです。

 後継者不足に嘆き体力の限界を感じて閉店を決意する前に一代飛ばして孫に託す。一朝一夕に作れない暖簾と歴史を守り、菓子を通じて地域に灯る明かりを消さない菓子屋の在り方のひとつかもしれない、と笑顔あふれる頼もしい24歳を前に思うのでした。

 山口県菓子工業組合専務理事・恒松恵子

 

店舗データ

みやはら製菓みやはら製菓
山口県下関市長府金屋町4-20
電話:083-245-0569