大分県菓子店

2018.01.19

家族一丸で将来安泰

御菓子司 紅屋

御菓子司紅屋 今回は温泉観光都市として全国的にも知られる大分県別府市で和菓子店紅屋を営む四代目 神屋信博氏(47)を訪ねた。紅屋の始まりは今から約100年前に中国の上海で和菓子屋を開業していた神屋善太郎氏の元に、東京を中心に和菓子の修業を重ねた若手職人の修氏が弟子入りしたことがきっかけで、その後婿入りし、養子となった修氏は店を継ぎ二代目となったが、すぐに日本に引き上げることとなり、帰国後に湯治で立ち寄った別府の街が大変気に入った二代目は、その地に菓子店を構えることにした。その際、若き日の修氏がお世話になった修業先から「紅」の文字を引用して紅屋と名付けたとのこと。それから三代目の方僖氏がしっかりと地域に根を張り信博氏にバトンタッチした。

 ここまで聞けば和菓子職人になるべくしてなったような博信氏だが、実は辻調理師専門学校で調理を学んだり、東京でサラリーマンをしていた経歴もあったりと、決してすんなり跡を継ぎたいと決めたわけではなく、色々経験した上で自分の生活リズムに一番合っていると感じた和菓子職人の道を選んだとのこと。

 また、彼は高校時代にバドミントンでインターハイ出場の経験があるらしく、おそらく自分でやると決めたらとことん努力し何事も追及するストイックな一面と、学生時代からブレることなくバドミントンと小泉今日子をこよなく愛し続けていることから芯の強い一面を持ち合わせていることがわかる。店頭に並ぶ商品を見ても、上生菓子や最中などの定番商品からアイデアを生かしたオリジナル商品まで約60品目にそれぞれにこだわりが感じられた。その中で今年から販売を始めた和菓子屋さんのあんパンは、餡へのこだわりはもちろんのこと、生地も絶妙の焼き色加減で、パン屋さんのあんパンとは一味違う優しい仕上がりが評判となり早くも看板商品の一つになっている。

 このように既存の商品を大切にしながら、新しいことに挑戦し続ける上で、彼は和菓子一級技能士としての自覚を持ち、原材料選びからパッケージデザインまで妥協せずに行っているが、その完成した商品の魅力を損なわない様、丁寧に情報配信しているのが紅屋女将の優子夫人で、積極的にSNS等を利用して季節に合った菓子や花などの画像に一言を添えてお客様に癒しを届けている。店舗の一画で売っている女将手作りの「ちりめんのブローチ」等も女性客に人気で補充のために夜遅くまで作業をすることもしばしばあると言い、近頃では店舗横に読書スペースを作り、絵本や小説等を無料で貸し出し喜ばれているそう。菓子製造以外のことで精力的に活動し紅屋を日々成長させる女将は、いつかカフェを併設し地域の人たちの癒しの空間にしたいとのこと。後継者も三男が菓子に興味を持ち、イギリスで修業をしたいと意欲を見せているそうなので紅屋の将来は安泰だ。

 現在、彼は6月に大分市で開催する菓業青年会九州ブロック大分大会の大会会長を任され、初の大分開催を成功させるために大分菓青会を牽引している。

 全菓連青年部九州ブロック長・大串久昭