大阪府菓子店

2017.11.20

御菓子司 吉乃屋

人に愛される菓子屋

御菓子司 吉乃屋 人間社会で生きていくには、それがどんな業界でもどんな仕事でも、人との繋がりは一番重要で大切なものだとすれば、御菓子司吉乃屋の経営者、中西信治さん程それを大事にしている人はいないのではないかと思う。ましてや地域密着型が多い和菓子店ではその重要度はさらに大きくなる。

 創業は2000年7月。夫婦ではじめたこの店は今年で17年をむかえたのだが、今年は創業以来一番重要な年になった。それは移転リニューアルオープン。諸事情で最初は工房と店舗が車で行かなくてはならぬほどの距離があり、作り手の中西さんとしてはリアルタイムでお客様に対応するのが難しく、配送コストも時間もかかる。長年の課題として頭を悩ませてきたのだが増設は出来ないし、せっかく地域のお客様に愛されてきたのに遠く離れたところに移転するとお客様も悲しむし、またそこで一から始めないといけなくなる。

店内 ところが今年、まるで天使が舞い降りたかのようにその物件は現れた。

 元店舗のあったところからほんの数十メートル。歩いても1分とかからない。その場所に念願の工房と店舗を2017年10月に移転リニューアルオープンさせた。従業員10名まで膨らみ製造員も店員も一丸となってお店を切り盛りしている。人付き合いが良く優しい中西さんは「一菓一笑(いっかいちえ)」の言葉をかかげ、お菓子で皆に笑みを届けたいと願う。

窯焼き餅パイ 中西さんはまだまだ自分の想いが伝わらないと謙遜するが、従業員は生き生きと仕事をし、美味しいお菓子をつくり、お客様に笑顔を届けている。コミュニケーションがとれてないとこうはいかない。店内には笑みが絶えない。「楽しく頑張る」もまた中西さんの言葉だ。

 そんなお店のイチオシ商品は「窯焼き餅パイ」毎日窯で焼いたさくっとした餅パイ。粒あんとお餅のバランスが大好評!北海道産大納言小豆と甜菜糖使用のこだわりのお菓子は一日2回買いに来る人がいるほど。

 他にも松原市のマスコットキャラクターの焼印がある可愛らしいどら焼き「あんまっきぃ」や人気の「フルーツ大福」定番の桃山・羊羹・最中などもしっかり押さえ、幅広い年齢層の支持を得ている。

従業員の皆さん その中で中西さんの一番の思い入れのある商品は、あっさりした白あんと佐賀ほのか使用の「いちご大福」父も和菓子職人だったことから中学生の時に父の作った苺大福に感銘を受け、いつか自分でも作りたいと心に秘めた。その夢が叶い独立開業したこの店で、そして自分の手で「いちご大福」を作り、それが売り上げ的にも一番の商品に育て上げた。それでもまだ父には敵わないというが、その答えはお客様が一番知っているのではないかと思う。

 自分の店に対する情熱はそこだけにとどまらず、業界や地域の活動にも積極的だ。昨年度は大阪府生菓子青年クラブで幹事長を務めあげ同クラブの55周年記念事業を大阪の中央公会堂にて大成功させた。地元のイベントにも必ず参加する。打ち上げも二次会も大好き。

 工房と店舗が一緒になったことで時間に余裕が生まれ、別の事にチャレンジしたいという。人との繋がりを大切にし、お菓子を研究し、経営センスもある中西さんの10年後は一体どうなっているのだろう。

 「気合入ってます!みなさん遊びに来てね」

 ・・・少しお茶目な彼から目を離せない。

 全菓連青年部近畿ブロック長・松田明