福井県菓子店

2017.10.19

創業170年 錦梅堂

毎日同じ商品をお客様に

羽二重餅 創業弘化四年(1847年)、羽二重餅の元祖として福井市内で毎日このかた170年間、羽二重餅を製造し販売致しております錦梅堂の、紅谷宏志と申します。7年前に先代から代表を引き継ぎ9代目となります。

 正直なところこの菓子業は家内の実家で、自分自身はサラリーマン家庭で育ち、大手企業に入社しサラリーマンの営業をしておりました。弊店に転職してきた当初の印象は扱う金額の規模が小さく全くつまらない仕事にしか思えませんでした。毎日同じものを作り、同じところへ製品を流通させて、3食食べて寝る。そして朝起きたらまた同じ事の繰り返し。それに比べてサラリーマンの営業は毎日がアクシデントやハプニングの嵐。毎日が刺激的でした。自分で決めた道とはいえ途方にくれながら「何か面白みを見つけられないものか」。

錦梅堂 そんな事を思ったりしながら数年が経過したとある日、製造をしている最中に普段の製品のちょっとした違いに気付きました。ちょっとした事でちょっと違った製品が出来てしまう。なんで同じ事を繰り返すのか。いつ食べてもいつ買っても同じ形で同じ味のものをお客様は求めている。だから同じ事を繰り返さねばならない。福井人にありがちなおとなしく言葉少ない先代夫婦から同じ商品を毎日作り続ける難しさと面白さを学んだと思います。この時「この仕事は面白い!」と思った瞬間でした。

 営業が好きな事から年に数回、県外の百貨店で販売しております。ある日お買上頂いた自分の祖母くらいのお客様から「私の祖母からあなたのお店を贔屓にしているのよ」と言われた時、170年間、代々続かせて頂いているのにはお客様も代々続いているのを体感しその歴史に畏怖の念を抱きました。そして代々続いて頑張ってきた祖先に最敬礼しお客様皆様に感謝したのを思い出します。

 今は家内の従兄弟にあたる工場長が10年前から共に汗を流して精進し、二人三脚で経営を担ってもらっています。良い従業員に恵まれ、3人の子宝にも恵まれ、いずれは順調に事業継承できるのが夢ですが、その機会が訪れた時には次世代が喜んで継承したくなるような会社にするのが今の私の一番大切な仕事と思いながら、これからも毎日同じ商品を製造する事に力を注いで参ります。

 福井県菓子工業組合・有限会社錦梅堂・代表取締役社長・紅谷宏志