愛知県菓子店

2016.09.16

彫刻経験による高い技術「菓匠 彩京」

自分が納得したものを出したい

菓匠 彩京 今回は東海道線「岡崎駅」前の直線道路を東に2キロの新興住宅街のメインストリートに構える「菓匠 彩京」様を訪問しました。

 店舗は曲線と直線を巧く取り入れた「和モダン」なシンプルな佇まいで、檜の看板や白い暖簾がなければ和菓子専門店とは一瞬わかりません。その控えめな中にも瀟洒な建物は、逆に存在感があります。

 店主のお母様(清水俊子様)がお菓子とお茶を運んできてくださり、そのお盆は楓や蟹を彫った木地の見事な工芸品でした。

 後からお聞きすると店主の清水紀行氏(昭和49年生 41歳)がご自身で材木から丹念に彫り上げたものでした。

 それもそのはず菓子職人になる前は富山県井波彫刻の師匠に弟子入りし住み込み修業した腕前でした。

 「ものを作る楽しさ、その作品が他の人をも喜ばせたり感動させたりする醍醐味、この時の経験と考え方がその後の菓子作りの基礎になっています。3年間修業しましたが、気持ちの変化もあり彫刻より家業の和菓子で実現したいと考え菓子の道に進みました」とのこと。

父・清水勇氏、店主・紀行氏、母・俊子様 その辺りをお父様の清水勇氏(昭和19年生72歳)に尋ねると「息子は手先が器用だったので、彫刻の道に進んだ時は好きな道に進めという思いと、若いうちは外で修業して苦労してこいという考えもありました。和菓子を目指すと打ち明けられた時はやはり嬉しかったですね」と目を細められた。

 「私は昭和49年に独立開業して菓子製造を始め、卸専門で大手スーパーなどに納めていました。今の店舗は息子が修業先から帰ってしばらくした平成19年10月に新築オープンしました。息子が初代として製造小売りの和菓子専門店をスタートさせた訳ですが、好きとはいえ新しい道を切り開くのは大変です」とのこと。

 その紀行氏は23歳の時、千葉市川「京山」に入店し5年、さらに松江の「彩雲堂」に3年間、菓子作りを学んだ。屋号の「彩京」は両銘店の一字ずつをもらったもの。

 「京山の佐々木勝先生、彩雲堂の伊丹二夫先生には技術以上に人としての姿勢や考え方など色々なことを教えられました。先生ご本人の人柄に惚れ込んで、ただ夢中で付いて行ったという毎日でした。今思えば掛け替えのない時間でした」という。

 店を継いだ後のご本人の並々ならぬ努力の結果の一つが、選・和菓子職制度で愛知県初の優秀和菓子職に認定されたことです(平成23年度)。

 着々と実力を蓄え、その技術に裏打ちされた上生菓子を中心に、贈答用菓子、羊羹類が並ぶ中、父親の時代からの八丁味噌の香り豊かな「みそまん」は根強い人気があり、若い人からお年寄りまで気軽に買い求められるので、集客に一役買っている様子。

 今後のことをお伺いすると「やはり季節にあった良質な材料を使って丁寧に安全で美味しいお菓子。具体的には菓子の素材そのもの、特に餡作りにこだわり、自分が納得したものを出したい」とのこと。

 「菓匠 彩京」岡崎市緑丘2―2―12  電話:0564―51―1115 火曜定休

 愛知県菓子工業組合・林圭一郎