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東京都小笠原母島でつくる『東京カカオ』計画

平塚製菓㈱

たわわに実り、収穫を待つカカオポット 東京都菓子工業組合員の平塚製菓㈱が取り組んでいる『東京カカオ(商標登録)』をご紹介いたします。

 明治34年創業、今年で115年を迎え現在はチョコレートと焼き菓子のOEMを行っているメーカーです。

 さて本年2月に多くのマスコミで紹介された『東京カカオ』についてお話しいたします。2003年に私はアフリカのガーナに行く機会があり、カカオの栽培を間近に見る事ができました。日頃、チョコレート屋といえども乾燥して輸入されたカカオ豆しか目にする事はございません。現地でラグビーボールの様なカカオポッドがカカオの木の幹に直接なっている姿に感動すると共にカカオを自分で栽培したいと思いました。とはいえカカオが栽培されるのはアフリカ、中南米、東南アジアなど赤道南北20度のカカオベルト地帯の高温多湿な地域です。カカオベルトからは少し外れますが日本国内での栽培は緯度からしますと沖縄か小笠原になります。

 私は生まれも育ちも東京の下町で今も暮らしていますので東京都小笠原村を候補地にいたしました。

 また商品化をした時に世界的ブランドならロンドン・パリ・ニューヨーク・トウキョウと考えたからです。

 2010年に父島と母島で農家の皆様に事業説明会を開催しました。その後に協力農家の方にお願いし栽培を開始しましたが、数百本の苗木が成長するも次第に枯れ始め数ヶ月で全滅してしまいました。すっかり落胆している時に、母島で数度お会いした事のある農家さんから連絡があり、事業説明会に参加しなかったがカカオ栽培に非常に興味があり一緒にやりましょうとの事。早速に打ち合わせを始めると共に同じ失敗をしない様に一度産地を見学しに行こうと言う事になり2011年にインドネシアのカカオ農園を訪問いたしました。

台風からカカオ樹を守る堅牢なハウス 小笠原の気温は栽培には問題ないのですが一番の問題は台風の通り道である事です。その為に風速60㍍にも耐えられる堅牢なハウスの建設が必要になりました。

 2011年8月に第1号ハウス完成。2013年11月に最初のカカオポッド1個を収穫できました。

 2015年9月に第7号ハウスが完成し500本のカカオ樹を栽培する環境ができました。総面積は約5000㎡です。

 2015年に少量収穫されたカカオ豆を発酵、乾燥の後にチョコレートへ加工してみました。出来上がったチョコレートは正にチョコレート、尚且つフルーティーな香りのする満足のいく物でした。私達は世界一の日本の農業技術により世界一美味しいカカオ豆を生産したいと考えています。農園では2017年には500本のカカオの木すべてが成木となりカカオ豆が収穫できる予定です。どの様な商品にするのか開発中で菓子メーカーとしてとても楽しい仕事です。今後カカオが島の産業の一つとなり母島がカカオアイランドになれば良いと考えております。

 東京都菓子工業組合常務理事・平塚正幸

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