高知県菓子店

2016.09.16

~武市神栄堂~

日常の和菓子を大切に…

四代目の洋三氏と奥様 高知市から国道55号線を室戸方面へ車で40分ほど行ったところ、香南市香我美町は黒潮おどる土佐湾を目の前に臨む豊かな自然の恵みにあふれた土地です。その国道沿いに店舗を構えて商いをされている武市神栄堂さんを訪ね、お話を伺わせていただきました。

 創業は明治10年頃、120余年続く歴史あるお店です。〝絵金〟で有名な赤岡町で、初代武市藤治(とうじ)氏が饅頭屋を開業したのが始まりとの事。「〝まるきん饅頭〟というのを作って、四国琴平方面へ売りに行ったと聞いています」と3代目の奥様が話して下さいました。また、その当時日露戦争で勝利した時代に使用した人形焼(カステラ生地)の兵隊の型を出してきて下さり、貴重な110余年前の人形型を初めて拝見し驚いたことでございます。

銘菓 君が代 2代目の久万三郎氏は、現在も製造を行っている看板商品の煎餅〝銘菓君が代〟を考案し大いに商いを伸ばしたそうです。3代目徹氏(現社長の父)は、昭和40年頃、米どころに着目し「餅」の製造を手がけ、地域の一大ブームを作り上げたと伺いました。

 現在は4代目まで引き継がれ、現社長洋三氏は京都の有名和菓子店で修業した後、18年前に帰郷。堅実な経営をモットーに、季節の上生菓子や日常の和菓子を製造販売されています。特に〝季節の銘菓〟として地元で採れた果物を使用した大福は有名です。〝いちご大福〟〝ぶどう大福〟〝山北みかん大福〟等さまざまな5種類の大福を手がけられ、特に〝ぶどう〟は自家農園で栽培し、品質にこだわった商品になっています。「遠方からも注文が入るんですよ」と4代目の奥様がおっしゃっておられました。

 「今後も日常の和菓子を重点として、地産地消や地域に密接した商いをして行きたいと思っています」と、社長ご夫妻共々笑顔で応対して下さいました。地元を大切に思う誠実な気持ちが溢れており、お客様により良いお菓子を提供されていると強く感じられ、お店を後にしたことでした。

 これからも5代目6代目と引き継いでいっていただきたいと思います。

 高知県菓子工業組合事務局長・森下広和