鳥取県菓子店

2016.08.17

「羽衣伝説」の地に

老舗・銘菓が集う

倉吉舎 鳥取県中部地方には、三朝や関金、東郷、羽合など有名な温泉があり、倉吉市の玉川沿いに並ぶ白壁土蔵群は江戸、明治期に建てられた建物が多く、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。赤瓦に白い漆喰壁の家や石橋も残る風情ある町並みだ。

 この地方には「羽衣伝説」がある。東郷池で天女が水浴びをしているのを見た男がいた。男は天女の衣を隠してしまった。天に帰れない天女は男の女房になり、二人の子を授かった。ある日、天女は羽衣を見つけ、それをはおると、子ども達を地上に残したまま天界に旅立っていった。子ども達は大いに悲しみ、打吹山に登り、笛を吹き、太鼓を打ち鳴らし、母親に呼びかけた。しかし、天女は二度と地上には帰って来なかった。

 鳥取県菓子工業組合中部会の会長は岡本栄伸さん。昭和42年創業の倉吉舎の二代目である。和洋菓子を製造販売し、天女伝説にちなんだ銘菓「打吹コロコロ」で知られる。クランチチョコが入った焼き菓子である。「葉こそ葉こそ」は「ようこそ」の気持ちをこめたリーフパイ。「蔵みるく」は牛乳たっぷりの黄味餡をミルク風味の生地で焼き上げている。

 副会長の山下浩紀さんは、お菓子処かわしまの二代目。昭和41年の創業で今年50周年になる。代表的な銘菓「はごろも」はバターやラム酒を混ぜ込んだ餡を包んだホイル焼き。「土蔵最中」は国産のもち米を使った最中種に北海道産の小豆を使い、自家製餡をたっぷりと詰めている。

 会計の鶴本豊樹さんはお菓子処まんばやの五代目。創業は明治10年。「志ば栗」は創業当時から続く銘菓。中は白あんで栗の形をした一口サイズの焼き菓子。茶道の盛んな地域なので、お茶にあう上生菓子も手掛けている。来年は六代目予定者が菓子学校に入学。老舗に跡取りが生まれそうなのはめでたい。

 鳥取県菓子工業組合理事長・小谷寛