青森県菓子店

2016.07.13

顔の見えないお客様

インターネットが生んだ難問

フライボール 青森県下北半島むつ市で1929年(昭和4年)に、祖父が海軍の町、大湊で創業し、今年で87年を迎えます。時代の移り変わりで有限会社を設立し、金谷二丁目に支店を開店したのが23年前。緑町に本店を移転して15年。創業当時から作り続けているあんドーナツに父が『フライボール』と名付け60年。ばら売りのおやつから箱菓子まで色々な形で販売し、当店の看板商品となりました。

 毎日洋菓子を製造しています私はそこの三代目です。ひとつの意見として書きます。

会計時は対面式で、お客様の前で価格を読み上げながらレジを打ちます 都市部の地下鉄の車内。ビジネスマンと思わしき男女から中高生。年嵩の方々まで皆スマートフォンを手にしている。音楽を聴く人、ゲームやメールをする人。移動時間の有効活用といったところか。

 インターネットの普及は加速度を増している。以前なら出来なかった事が造作も無く出来てしまう。昔旅した土地を地図アプリで再訪しても良い。お盆にお小遣いをくれるおばあちゃんとウエヴカメラで話すのも良い。一人息子が頑張って走った運動会の勇姿を動画で残しておく事も出来る。買い物も出来る。全国の美味という美味を取り寄せるのは、今後ブームを超えて定着しそうだ。

緑町本店の店舗~駐車スペースは前に5台、店舗横や裏にも8台程 我々はお菓子を商っている。全国から注文の入る店舗も多いだろう。口コミを頼りの一見さんからお馴染みのお客様まで。自分の身に置き換えても、昨今のお客様は店舗への要求水準が高い。本が売れなくなって久しいが、お客様個人個人では文章を発信する事にためらいが薄くなっている。気に入らない味付けやサービスには厳しい書き込みをする。面と向かっては中々云えない様な云い廻しも匿名の鎧を着て云ってしまう。意見を云う事は自由とあるし、正鵠を射た指摘により各店舗や会社が成長する事もある。ただし、ほんの少しの悪意で為されたクレームもある。職業的に食品を詐取しようと目論見むごく一部の詐欺集団(数年前に全国的に被害が広がった)を除けば、クレームを入れるお客様も善良な一市民なのだと思う。対応はとても難しい。当方に明白な落ち度が認められる場合なら誠心誠意謝る事をするが、先方と当方の考え方が食い違う事もある。いわばグレーゾーンとでも言えるか。その場合はもう正解の無い難問である。なるべく先方の言い分に配慮しつつ、当方の考えを解ってもらう努力をする。そのくらいしか出来ることは無いかもしれない。これから先も顔の見えないお客様との取引は増すだろう。正解に近づけるよう考えるのみだ。

 青森県菓子工業組合むつ下北支部・㈲お菓子工房やなぎや・柳谷淳一