静岡県菓子店

2016.07.13

「継ぐ!」

御菓子司 清光堂(静岡県沼津市)

ニ代目・恒雄氏、三代目・光眞氏、奥様の信子さん お菓子作りは魅力のある有り難い職業であり、お菓子屋さんは絶対無くならないと信じている。しかし、近年、そのお菓子屋さんが後継者難で廃業される方が増加している。さらに自分の代で終わりと思っている予備軍の方も多い。そんな中、前向きに家族一丸となって頑張っておられるお店があるので御紹介したい。

 静岡県沼津市新宿町にある「御菓子司清光堂」は昭和元年創業で現在三代目となる老舗として知られている。当初(初代・清一氏)は和洋菓子を作っていたが、時代と共に和菓子主体の商品が陳列に並ぶようになっていった。現在は和菓子専門店となり営業されている。主力商品は、創業当初より人気の「やきだんご」で三代変わらぬ味として好評を博している。

 朝五時半全員が起床、工場は閉店後まで続く、これは代々続けられてきたこと。休日も世間では週休二日が当たり前の時代だが、週一日の休日を続けている。お客様の喜ぶ顔を想像すると苦にならないと仕事を楽しみと喜びに変えている。

御菓子司 清光堂 三代目(光眞氏・56歳)は東京の「成城凮月堂」で修業された後、母校の日本菓子専門学校(日菓専)の助教師を務め、技術の向上を目指した。奥様の信子さんとは同じ日菓専で助手を務められていたのが縁で御結婚された。四代目となる真悟氏(28歳)も父と同じ道を進まれ下赤塚の「鉢の木」や「成城凮月堂」で御世話になり、現在、同じく日菓専の助教師をされている。この間、各種の審査会、品評会などで優秀な成績を収められ、全国和菓子協会推奨の「優秀和菓子職」も取得されるなどして、家業継承の機会を待っている。

 現在、二代目(恒雄氏・84歳)も健在で一緒に仕事をされている。店には名物の「やきだんご」から、季節の朝生や上生菓子、焼き物類まで、季節感と食感を注ぐようにセンス良く陳列され、壁面には数々の賞状が掲示されて御菓子の素晴らしさを一層醸し出している。食の安心と安全に努めると共に「お客様に喜んで頂けるお菓子」を目指し、季節のお菓子もさらに良いものをと精度を高める努力を常に心掛けている。お客さまもお馴染みさんが多い。最近は和菓子を好む若い方も増えてきたので、和洋折衷の商品開発にも努めている。

 三代目が家業に入った時は、地域に合ったお菓子作りに苦労したが、まずは引き継がれてきた味や塩梅を、寡黙な父の仕事ぶりを見て勉強し、どうしても納得がいかない時は相談にのってもらった。光眞氏は、お陰でスムーズに継ぐことができたと父に感謝している。沼津市で開催された技能五輪では、和菓子のチームリーダーとして活躍、現在、沼津菓子工業組合の副組合長を務めるなど業界にも大きく貢献している。また、お母様も多忙の中、長年「民生委員」(瑞宝単光章受章)として地域のためご尽力された。取材して代々継承のヒントが「御菓子司清光堂」に沢山あると強く感じた。

 静岡県菓子工業組合副理事長・森田紀