各地の菓子店探訪,群馬県菓子店

2016.04.18

洋菓子工房 樫の木

宿命に生まれ 運命に挑み 使命に燃える

樫の木のバウムクーヘン 私のお店は遡ると創業100余年と続き、沼田の地で初代、二代と和菓子屋を営み、三代目の私の父がこれからは洋菓子だと決意し、沼田で最初の洋菓子店として創めさせていただきました。そして、20年ほど前からバウムクーヘンが主流のお店となっております。

 父が開いた洋菓子店としても現在50年が経過し、私が継いで15年となっております。

 私自身が後を継ぐことには当初いろいろと葛藤があり、物を作ることよりも人と接する仕事の方が好きでしたので、大学を出た後はそのまま東京で働いておりました。

 2001年の5月に父の癌が発覚し、当時は再発のリスクが高い進行性胃癌であったため、店と家族を守るのは俺しかいないと決意して後を継ぐことを決めたのがきっかけでした。それまでまったくバウムクーヘンに触ったこともありませんでしたが、すぐに父の入院・手術が迫る中、生き死にをかけた中での必死の修行が始まり、右も左もわからないまま殆ど寝ることもなく、言われた通りのことをそのまま作れるように連日連夜修行し続けました。火事場の馬鹿力というか、崖っぷちに追い込まれた集中力みたいなもので、ひたすら突き進む形で一週間後にはオーナー代理として店に立ち、自分の作ったバウムクーヘンを販売する形となりました。

 そんな逆境の最中とは、全く不思議なもので、そんな必死な時に限って新聞や雑誌の取材が瞬く間と重なり、自分はひたすらバウムクーヘンを製造する毎日となりました。

 当店のバウムクーヘンは作家のよしもとばなな先生に好評をいただいたことがきっかけで口コミをいただいておりますが、この頃から更に話題を呼んでいただきまして、以来、全国的に口コミが伝わり、テレビにも何度か出演させていただく機会もありまして、おかげさまで今現在に至っております。

 自分にはパティシエとしてのセンスはないかもしれませんが、他に職人を雇わず我武者羅に真っ向から自分自身のみで作り続けること、バウムクーヘン職人として何十万本も焼き続けてきましたので、これだけは誰にも譲らない気持ちで15年間毎日手焼きで製造させていただいております。

 父も奇跡的に現在も元気に復帰できており、私も真摯に自らの手作りでお客様にハピネスを送ることが使命だと思い、バウムクーヘンを精魂込めて焼かせていただいております。

 宿命に生まれ、運命に挑み、使命に燃える

 この言葉を胸に邁進しておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 最後に、今年はNHK大河ドラマ「真田丸」の舞台として沼田市内、沼田菓子組合としても各加盟店舗頑張って盛り上がっておりますので、皆様のお越しをお待ち申し上げます。

 群馬県菓子商工業組合理事沼田支部長・鈴木博之