山口県菓子店

2016.01.18

ふるさとを紡ぐ菓子

地元の素材を取り入れて

三代目の寛氏と四代目の仁志氏 日本海と瀬戸内海に囲まれた山口県。日本海側は90キロに及ぶ北長門海岸国定公園に指定され、勇壮な海岸美を形成している下関市豊北町。油谷湾に続く粟野川は1月に青海苔で川が真っ青に染まるほどの一大産地として知られています。

 その粟野地区で初代満畑仁助氏が菓子づくりを追求して創業したのが大正7年。その後、ふるさとの産品、青海苔をお菓子にできないかと試行錯誤のうえ「青海苔羊羹」を考案し作り上げました。北長門の土産と言えば、だるま堂の青海苔羊羹で知られる一大名物。その歴史と伝統を受け継ぎ、ようかんにこだわり、季節の和菓子を取り入れた郊外型の工場兼店舗を平成4年に粟野の国道沿いに構えた長州路菓子処だるま堂を訪ねました。

 三代目の寛氏は温厚で柔和な人柄で地区の菓子組合のとりまとめを長く努めています。四代目の仁志氏が東京の修行先から帰ってきて5年。どちらも菓子製造はもちろん、商工会活動や経済団体活動をはじめ、老人福祉施設での実演や学校での菓子教室など町のために奔走しています。仁志氏の青年部中四国ブロック大会における体を張った八面六臂のご活躍は青年部の皆さんのご記憶に新しいかと思いますが、普段は親子でいさかいもなく尊重して日々の製造に精励されています。

 父親から息子に望むことは「若い行動力とアイデアを生かして仕事をすること」。還暦を過ぎたばかりの三代目寛氏もまだまだ現役ですが、若い時しかできないことがあると言います。仁志氏は「季節の商品を増やして、地元の素材を積極的に取り入れた菓子づくりをしたい」。地元には厚保栗や長門ゆずきちをはじめ特産物はありますが、お菓子に取り入れるとなると安定した原料と販売先の確保、従前の商品との差別化など課題も多くあります。

 町内にある一度は訪れたい絶景、角島。平成12年の角島大橋開通後、夏はもちろん春から秋にかけて人が途絶えることはありません。県内屈指の広い駐車場を持つ郊外型菓子店ですから観光客の来店も多々あり、繁忙期にはありがたい忙しさだそうです。もちろん車での来店がほとんどで、長いドライブの休息がてら抹茶セットや飲み物を楽しんでもらえるよう和風カフェも併設され、一つ一つのお菓子にはお土産に重宝されるように地域を知ってもらえるようにと夢岬や鬼の岩や楊貴妃など象徴する冠が付いています。

 このほど仁志氏は結婚したばかり。明るく聡明な伴侶とともに四代目として暖簾を背負う日はすぐそこです。3年後に迎える創業100年。創業者の思いを紡ぐ家族はもちろんのこと、その日を一番楽しみにしているのは粟野地域の方々かもしれません。四代目のふるさとの思いにあふれる趣向を凝らしたお菓子とともにその日が訪れますように。

 山口県菓子工業組合専務理事・恒松恵子

店舗データ

だるま堂長州路菓子処 だるま堂
下関市豊北町粟野2376-1
TEL 083-785-0032
http://www.darumado.jp