各地の菓子店探訪,香川県菓子店

2015.11.17

菓子工房遊々椿

「知事賞」をいただいて

白わくおいりと鯛 米屋井下製菓は明治創業で、多種の菓子を作っていましたが、おいりの製造に特化した時、店の名を改め「菓子工房遊々椿」としました。

 おいりとは、直径1・2㎝位の球体で、雛あられを限りなく軽くしたような、口の中で溶ける餅菓子です。十六世紀末頃、讃岐国丸亀藩主の生駒親正公の姫君のお輿入れの時、領民が献上した五色の煎りもののあられがその始まりです。以来、香川の西の地域では婚礼に欠かせない菓子として、紅白鶴亀の箱に入れて近所に配られます。

 おいりは餅米をつき、乾燥させたものを煎って作ります。球体に仕上げるには熟練と勘が必要なため、製造している菓子屋は県内でも数えるほどしかありません。

 そのおいりを、四代目である今の社長が透明筒型容器に入れて販売、また金毘羅さんではソフトクリームのトッピングで観光客に知られるようになりました。香川の西では婚礼菓子として見慣れたおいりが、県外の方に可愛く新鮮に受け止められ、香川土産として人気となり、ネットの発達のおかげで、お客さまの間で話題になりました。おいりに「物語」があったことも良かったのだろうと思います。昨年は経済効果のあるタレントさんにテレビ番組でおいりを食べて、褒めていただいたことで、より全国に知られるようになりました。

 四代目が、同じく香川に伝わる縁起物の鯛をかたどったお菓子にパットライスを入れ、おいりとセットにして「白わくおいりと鯛」を考案しました。それを香川県主催の「かがわ県産品コンクール」に出品したところ、菓子部門で最優秀賞である知事賞をいただきました。「かがわ県産品コンクール」は今年で13回目、菓子部門以外に、食品部門、工芸部門があり、香川県ならではの高品質な商品を発掘して、香川ブランドとして全国にアピールしていこうという趣旨のコンクールです。

 弊社はコンクールの参加は二回目で(前回は別商品を出品しましたが、予選落ちでした)、前回の弱点をクリアしての再挑戦でした。今回は伝統的な紅白の箱に入れていたおいりを、現代的に「楽しく」「可愛い」という感覚を取り入れたのが評価されました。

 現在、三世代で仕事をしていますが、受賞は祖母や親の世代をはじめ、ご先祖様のお蔭、お客様のお蔭、お菓子の神様のお蔭と思います。

 家族で仕事をしているので近すぎて意見の違いでケンカもしますが、香川においりがあって良かった、遊々椿があって良かったと思われるように、五代目としてしっかり技と伝統を受け継いでいきたいと思っています。

 菓子工房遊々椿・井下宏造