視点

消費税の軽減税率の仕組み決定迫る(平成27年11月)

広く国民の理解を得られる制度の構築を望む

 平成29年4月からの消費税の10%への引き上げに向けて、与党の税制協議会において議論が進められている。自民党税制調査会と財務省が打ち出したマイナンバーカードを利用した低所得層を中心とした還付制度については、消費時点では一旦税を払うことから痛税感の緩和に結び付きにくく、前回の引き上げ時と同様景気に悪影響を与えるのではないかとの指摘、軽減税率制度を導入するとした先の衆議院選挙の与党の選挙公約合意に反するのではないかとの指摘、また、社会福祉財源確保の観点から還付総額を限定的なものとしたこと、さらには、マイナンバーカードが何時どの程度普及するのかということについての不明確性等から、多くの批判、反対論を惹起したところである。結果的に、公明党の強い反対及び選挙公約との整合性を問題とした総理の指示により、年末の税制改革大綱のとりまとめに向けて選挙公約と整合性のとれた軽減税率の仕組みを与党税制協議会においてさらに検討することとされたところである。

 報道等では、財源の問題から、自民党サイドは精米、あるいは生鮮食料品に限定したいとの意向と伝えられ、公明党サイドは、低所得層は加工食品の購入割合が高いこと、減税額が限定的だと選挙公約との整合性が問題となること等から酒類を除く飲食料品を対象とすることを求めているとのことである。

 全菓連としては予てより、菓子類を含む食料品を対象とするよう求めているところであり、そのような制度が仕組まれることを強く望むところである。

 翻って、そもそもこの問題の本質はどこにあるかと考えた場合、今後増大する社会保障の安定財源を確保するためには消費税の増税が必要となるが、同時にこの税の持つ逆進性を放置すると、低所得層の生計の悪化と消費の低迷を招きかねないということではないか。そういう観点からすると、財務省の提起した簡素な給付制度については、前回の引き上げに伴う消費の低迷が事前に予想された駆け込み需要の反動減を大きく超えて現れたという事実に照らした場合、十分な対策とは言い難いのではないか。また、軽減対象が仮に生鮮食料品とされた場合、贈答用の一個2万円もするメロンなどが軽減税率の対象となり、低所得層の購入割合が多いといわれている加工食品や子供がお金を握りしめて購入するお菓子が一般税率となるということは如何なものであろうか。さらに、線引きの仕方によっては、制度の目的と離れて品目間の競合関係に影響を与えることにもなりかねない。一方、軽減税率の対象を広くとると、税収の減少が大きく、かつ、低所得層対策という制度の目的に反し高所得層の減税額が大きくなるという矛盾も生じることとなる。

 以上の状況について、複雑な税制の門外漢としては、軽減税率の対象は出来るだけ広くとった上で、制度の目的外である高所得層の減税部分については、まさに税制の一体改正として高所得層に対する所得税の引き上げで対応することはできないのかと思われる。もちろんそのことにも賛否両論があろうとは思うが、軽減税率の導入の目的、デフレからの脱却、将来的な消費税の再引き上げに対する国民の理解の得やすさ等からすると一つの方法ではないかと思われる。

 いずれにしても、11月中には結論を出すべく精力的に検討が進められているようであるが、消費税の軽減税率制度の導入によって、社会保障の財源確保のための将来の消費税の引き上げに対する国民の理解が進み、世代を超えて国民に安心感を与えるものとなることを願ってやまない。

 全菓連専務理事・山本領