各地の菓子店探訪,茨城県菓子店

2015.10.19

㈲木村屋本店

常盤国の水戸銘菓

㈲木村屋本店 4年前の東日本大震災を除けば常陸国は住みやすい所、気候は温暖、台風、干ばつ、冷害、豪雪、台風等、自然災害の少ない広大な平地で米処、果実はリンゴの南限、ミカンの北限と栗、メロン、蓮根等数多くの農産物が全国一、二を競い、県央を流れる那珂川ではモズクガニ、鮎、鰻が取れ、将軍家献上鮭が遡上する生鮮食品の豊富なところです。更に、発酵に適し、酒、味噌、納豆と美味しい発酵食品に適した地域です。よって、農産物等をわざわざ加工、料理するより新鮮なまま美味しく食べられる処ですので、料理・菓子等の加工品を古くからはあまり考える必要が無かったと勝手に、推測します。

 水戸は徳川御三家の一つ、三十五万石です。歴史的には佐竹氏時代からなので歴史的にはそれほど古くなく、当地には古来より受け継がれる由来の菓子、料理などが少なかったようです。

 水戸の銘菓、吉原殿中は江戸時代に、殿中の食事の残り御飯でお女中(吉原)が節約から創り、生まれと言われております。水戸の梅は明治に入ってから、烈公(徳川斉昭)が好んで食したといわれる星の梅を基に水戸の菓子職人が紫蘇巻きの梅干しを模して創った(諸説有り)と云われております。その後、数社の菓子業者が来水客に目立つように常磐線沿線に大きな看板を立て宣伝をして水戸土産と広がり定着してきました。

 先人がご当地銘菓としてより周知保護し製品の粗悪化を防ぎ、より水戸の代表銘菓として育てようと「水戸の梅」「吉原殿中」の登録商標を当時としては珍しく地域商標として組合で所得しようと協力、努力を始めました。まず、当時すでに使用している企業には、一般名使用権の放棄、類似の水戸殿中、水府殿中、常盤殿中、黄門殿中等、各企業所有の商標及び類似商標の権利の放棄をしてもらい、昭和三十八年、水戸市菓子工業協同組合で協調し登録、現在に至っております。

 商標使用には当組合商標委員会の承諾が必要です。水戸の梅は白餡又は、小豆漉餡を求肥で包み、蜜漬紫蘇葉で包む。というように細かいレシピは規制しないで各社の味覚を尊重、切磋琢磨を期待し、今日では、「吉原殿中」並びに「水戸の梅」は当地を代表する水戸銘菓となっております。

 現在、若い人中心に水戸産及び近郊の梅の実を用いて新しい水戸銘菓の模索も始まっております。

 茨城県菓子工業組合水戸支部・木村恒雄