鹿児島県菓子店

2015.09.17

宮原菓子店

手間暇かけて丁寧に

宮原五三さんと奥様 鹿児島市内の喧騒を後にして、国道226号線をひたすら南下。

 やがて車は、波穏やかな錦江湾を左手に、右手には迫りくる山裾を国道に並走する指宿枕崎線が走り、運がよければ、人気の観光特急列車「指宿のたまて箱」とすれ違うこともある片側一車線の海岸道路へ。

 巨大な石油タンクの立ち並ぶ壮観な眺めの石油基地も通り過ぎ、出発してから約1時間で、目的地の喜入生見町に到着しました。

 ここからほんの少し行けば、もう指宿市。

 この鹿児島市の南端の地に、今大評判の「よもぎ団子」を作っている「宮原菓子店」があります。

 昨年6月にオープンした、鹿児島一の繁華街天文館内にある「かごしま市商工会アンテナショップ『ゆめりあ』」で販売され、不動の売上1位を誇っています。

 その人気の秘密はなんぞや。店主の宮原五三さんと奥様にお話を伺ってみました。

よもぎ団子 「よもぎ団子」は創業以来作り続けているそうですが、その間に原料やヨモギの按配など工夫していき、現在の味に定着し、ここ数年口コミで徐々に売り上げを伸ばしてきたそうです。

 「すごく手間暇をかけているから」とお二人は口を揃えておっしゃいます。地元のヨモギをよく選別して洗って、煮て、天日干しして乾燥させ、その後、更に改めて異物や草などが混ざっていないか、丁寧に丁寧に選別する。ここが一番重要な作業。当たり前のように見えても、時間と人手のかかる作業です。

 そして一尺角のセイロに流し込む前、これも地元で採れたサネンの葉を敷き詰めます。サネンは香りもよいのですが、殺菌作用があるのだそうです。使用するヨモギの量も多く、風味豊かな濃厚でもっちりとした団子ができあがるのです。

 こうしてお話を伺っている最中に、車で店前に乗りつけたお客様が、段ボール箱を手渡して「よもぎ団子を50個ください」と。「50個?」と驚いていると、山を越えた市外から1時間かけて来店されたとか。もう3度目だそうです。一度お土産として食べてから大ファンになって、お店を探し出して訪れるようになり、まとめて購入し冷凍しておいて、食べるのだそうです。

 ここまで愛されて、お菓子屋さん冥利に尽きますね。

 手間暇かけるとは、丁寧に愛情をかける、思いを込める、ということなのでしょう。そしてその思いは、間違いなく相手に伝わるのでしょう。

 鹿児島県菓子工業組合事務局長・惠島理子