視点

…賞の審査方法を見直し…(平成27年8月)

より開かれた菓子博覧会に向けて

 全国菓子大博覧会は明治44年(1911年)4月に東京・赤坂溜池・三会堂において第1回帝国菓子飴大品評会とした産声を上げ、昭和10年5月仙台で開催された第10回大会以降は全国菓子大博覧会と名称を変更し、戦中戦後の中断を挟みながらも平成29年(2017年)4月の開催予定に向けて準備が進められている三重菓子博で27回目を迎えることとなる。この間、106年の歴史を刻んでいるわけであり、平均すれば、オリンピック並みに4年に一度開催されてきた計算にはなる。もっとも、オリンピックとは異なり開催間隔が決まっているわけではなく、戦後の第一回となった昭和27年(1952年)5月に横浜で開催された第12回博覧会以降の開催間隔を見ると短くて2年、長い場合には7年となっている。

 本年度の菓子需要喚起対策のキャッチフレーズは『心も身体もお菓子で元気』であるが、これは、「あなたにとってお菓子とは?」という消費者にアンケートにおいて、お菓子は「心と体を癒してくれる」、「幸せのもと」、「心が和む」、「元気の源」といった回答が多かったことを反映したものである。まさに、お菓子は単なる食べ物であるにとどまらず、心の栄養としてもとらえられているということである。それ故に、老若男女にかかわらずお菓子に対する関心が高く、全国大菓子博覧会にも開催の都度、実に多くの入場者にお越しいただいているということであろう。

 冒頭に述べたとおり、この博覧会は、お菓子の品評会として始まっており、毎回出展されたお菓子の審査が行われ、名誉総裁賞、内閣総理大臣賞、農林水産大臣賞等の公的な賞に加え、全菓博栄誉大賞、全菓博会長賞、金賞等のいわゆる大会賞が授与されてきているが、最近、この賞に対する消費者や報道関係者の関心がとみに高まってきている。元々が品評会であったということもあり、これまで、その審査は専門家としての業界人があたってきているが、我が国の菓子文化、伝統に対する国民の理解を深めていただくという博覧会の目的に照らした場合、その審査にも専門家だけでなく、消費者、マスコミ関係者等の参加を求め、より開かれた博覧会にしていく必要があるのではないだろうか。

 そのような声を受け、菓子業界団体で構成する全国菓子大博覧会協議会において、菓子博における褒賞審査の在り方について1年間検討し、本年6月8日にその結果を取りまとめたところである。検討経過の中では、消費者に審査が可能かという意見もあったところであるが、個々の菓子製造業者が日々苦労し、工夫を凝らしているのは、すべて消費者に評価していただくためであり、まさに消費者の審査の結果個々の菓子製品の売れ行きが決まっているのではないか、といった議論もあった。その結果、消費者等による審査を導入するという前提で、おおむね以下のような見直しが決定され、三重菓子博から適用することとされたところである。

 まず、審査品グループと審査基準について専門家以外にも分かり易いものとすることを旨として、これまで25部、53科に区分されていた審査グループをこれまでの審査の実情にかんがみ、和菓子、洋菓子、米菓、煎餅、飴菓子、半生菓子の6グループに簡素化するとともに、風味、色彩、表現、品格、衛生、市場性、地域性という7項目に分かれていた審査基準も、姿と美味しさの2項目に突き詰めた。

 ついで、審査の手順についても、審査グループごとの専門家による審査による評価点の上位4割を選定し、内上位2割部分を消費者等審査の対象として審査の上、専門家審査の評価点と合算し順位を決定する。

 さらに、賞の種類についても、消費者等にも分かり易いことを旨として、いわゆる大会賞について優秀金菓賞と金菓賞の2種類に簡略化する。

 その上で、賞の授与については、まず上位2割の出展品について専門家と消費者等の審査の結果に従い、評価点の高かったものから順に名誉総裁賞、総理大臣賞、農林水産大臣賞等の公的な賞の授賞対象品を決定し、該当しなかった出展品は優秀金菓賞の授賞対象品とする。ついで、専門家審査で選定されたものの消費者等審査の対象とならなかった出展品を金菓賞の授賞対象品とする。

 なお、工芸菓子については従前の専門家による審査とは別建てで入場者による人気投票を行い上位作品に感動大賞を授与する。

 新しい試みであり、出展を考えられている方々に戸惑いもあるとは思うが、消費者の皆様のご支援によりここまで育てていただいた菓子博が、より開かれたものとして消費者の方々のさらなるご理解とご支援をいただき歴史を刻んでいくための一里塚として前向きに考えていただければ幸いである。

 全菓連専務理事・山本領