宮崎県菓子店

2015.07.15

菓子処 ふくや

伝統の味と新しい工夫

茶羊羹 一九二九(昭和四)年、創業者の園田惣一が当初は「花月堂」として開店しました。当時は原材料の購入にも苦労したと聞いた事があります。一九四三(昭和十八)年、創業者が第二次大戦で徴兵され、終戦後に帰って来るまで、妻(とし)が家業を守っていました。その後一九四六(昭和二十一)年「ふくや菓子舗」として再度開店しました。創業時から受け継ぐ商品は色々ありますが、その"味と技"を今も守り続ける「茶羊羹」は、お茶本来の味と香りを残し、手間ひまかけて作った当店伝統の羊羹です。

ちゃらんぽらん 二〇一〇(平成二十二)年三月の公開に向けて整備が進む都城島津邸の蔵から出て来た一九五四(昭和二十九)年五月二十日の朝日新聞宮崎版に「茶羊羹」の広告を発見。おそらく都城をPRしようと、初代が地元のお茶を使った羊羹を宣伝したものと考えます。今も人気商品の一つです。

 現在は二代目の征利と妻の玲子、三代目の真史で営んでおり、三代目が考え出した「ちゃらんぽらん」(いいかげんの意味)という焼き菓子が好評です。煎茶を煮出したエキスを白餡に練り込んだお菓子で、お茶の香ばしさが餡の甘さを柔らかく包み込みます。この手の焼き菓子は、見栄え良く整えるのが一般的ですが、いびつなうえ、中身の餡が表皮の割れ目から顔を出すよう、一つ一つ手を掛けてつぶしています。いいかげんに見えて、実はきちんと計算されているお菓子です。

 通年のお菓子をはじめ、季節のお菓子、茶席菓子、冠婚葬祭菓子等、常に前を見ながら邁進しています。

 都城はお茶とお水が美味しいので、今もお菓子の文化が根付き、和洋を問わず菓子店が多いのだと思います。初代の作った場所で一階店舗、二階工場として営んでいましたが、中心市街地の衰退等もあり、三代目の提案で店舗だけは残し、一九九七(平成九)年六月に工場と新店舗を郊外に新築しました。これからも、材料を吟味し、初代の味を大事に引き継いで行きたいと思います。

 都城菓子商工業組合副理事長・菓子処ふくや代表・園田征利